タイトル通り。 

 





発売元:ビクターインタラクティブ
発売日:1997年7月24日
機種:プレイステーション
価格:6,090円

(C) Victor Interactive 1997



 図面を書いて自分なりの家を建ててみることができるという一風変わったゲーム。


 設計・建築が完了した家は、一人称視点で探索可能である。メモリーカードにデータを保存しておくこともでき、いつでも「マイホーム」にアクセスできる。

 コンセプトを聞いただけだと硬派なゲームにしか思えないし、実際そういう風に考えるプレイヤーも多いだろう。だが、これは私なりの見解だが、本作はその実、かなりのバカゲーである。


 設計するといっても、当然だが建築の専門知識が必要なわけではなく、適当に部屋の大きさやドアの位置を設定すればよい。部屋もリビング、トイレ、バスルームなど細かく設定することができる。

 芸が細かいところは、壁紙や窓枠、照明のデザインまで設定することができる点だ。まさに思い通りにマイホームが設計できるわけである。窓を「つくらない」という引きこもり全開な家にしてみても面白い。


 家を建てるだけでなく、家具を置くことができる。本棚や学習机といった一般的なものから、ビリヤード台やピアノなどふつうは置かないようなものまで様々な種類がある。大きなものばかりでなく時計など小物も設置可能だ。

 また、庭にはテニスコート(!)やプール(!!)も設置することができる。スペースの調整次第だが、この2つを両方置くことも可能。


 そして、設計した家屋の設置場所だが、まず、通常の住宅街という選択肢があるので、そこは安心(?)してほしい。やっぱり、基本的には真面目に取り組むゲームなのだろう、たぶん。

 だが、それで終わらないのが本作の本作たるゆえん。墓地(!?)や月面(???)といった選択肢も存在する。もはやリアリティなど寸分も考慮していない。意味不明である。でも、そういう遊び心のあるところが愛おしいのだ。


 要するに、このゲームは現実味についてはろくすっぽ考慮していない――間違っても建築の勉強をしようなどと考えてこのゲームを買ってはいけない、いやそんな人いないだろうけど。テニスコートやプールがくっついていて、室内にはビリヤード台やらジュークボックスやらが置かれ、天井にはシャンデリアが引っかかっているような訳の分からん成金のような家を設計することもできるのだ。

 もちろん、まじめに設計することもできるし、それはそれで面白い。むしろ、製作者的にはそちらがメインコンテンツというか、コンセプトなのだろうし、上で散々ネタにしてきたことはオマケ程度に考えていたのだろうが、このゲームはふざければふざけるほど、そっちの方向でどんどん楽しくなってしまう。


 一応、ストーリーモードのようなものはあるが、そちらでは一定の条件を満たした家を建てる必要がある。ちょっとでも制約ができてしまうとこのゲームはなかなか息苦しいもので、正直言って面白くない。遊んだプレイヤーは多くないと思う。少なくとも、私はほとんど触らなかった。

 ほかに欠点らしいことを挙げるなら、家1つ保存するのに結構メモカの容量を食うので、あまりバンバン家を作ることは出来ない。まあ、今なら上位機でいくらでもデータが作れるのであまり関係ないが、当時は死活問題だった。

 あとは、とにかく設計に時間がかかる。凝れば凝るほど時間が消費されていく。それは楽しい時間でもあるのだが、自分なりに目標を立てて試行錯誤するようなプレイが好きでなければ、このゲームは長続きしないだろう。

 短所というわけではないが、このゲームはやけに音楽に高級感がある。そのせいで、ふざけた家を作るとなんだかシュールであり、バカゲー感が増してしまう。


 今の時代にこんなゲームが出ていれば、動画投稿サイトに大量に(狂気の)マイホームが山ほどアップされていそうな気がする。ちょっと検索してみたが、このゲームの動画が、それほど多くはないもののいくつか上がっていたので、この推測はあながち間違ってないはずだ。やっぱり、このゲームはおふざけるにはちょうど良いのだ。

 総括すると、開発費が高騰した現在のゲーム業界ではまずお目にかかれないような、ゲーム発展途上期の遺産。クリエイターのちょっとした遊び心が、プレイヤーの童心を蘇らせてくれる愉快なゲームだ。堅いゲームの息抜きにはちょうどよかった作品である。
 






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投稿:2015/10/27
更新:2016/11/17